おもしろ発明ウェブログ

「はつめい」っておもしろい。「はつめい」って人をワクワクさせる。とある弁理士が気の向くままに綴るブログ。

おもしろ発明家名鑑(発明家・永盛さん)

発明家を紹介するシリーズ。ここでは思わず「これ便利!」と言いたくなる発明品でビジネスを展開する発明家を紹介します。

 

第5弾の今回は、文具「メガミエ」やボードゲーム「サイコロン」の開発・販売を手がける個人発明家・永盛さんのご登場です。

 

目次:

 

発明家・永盛さん

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何やらちょっと怪しげな雰囲気(笑)。。写真の人物が永盛さんです(発明品「メガミエ」を使っている姿)。

 

ですが、この方は個人発明家として沢山の成功体験をお持ちです。発明ビジネスに興味がある方ならば、今回ご紹介する内容がとても参考になるはず。今回はそんな永盛さんのお話です。

 

 

主な発明品

永盛さんの代表作を2つ紹介します。

 

①バーチャルピンホール定規「メガミエ」

この商品はとてもシンプル。筆者も大注目の一品。
f:id:omoro-invention:20210817110131j:plain人がモノをハッキリ見たい時に役に立つ「ピンホール原理」を利用した不思議な定規です。定規には無数の小さな穴がプリントされています。使い方は極めて簡単。この定規を筆箱に忍ばせておき、学校の授業で黒板の文字が見えにくい時などに、この定規を取り出してその穴から覗けばいいのです。ただそれだけですが、それまで見えにくかった文字などが見えやすくなってしまうのだから優れものです。

 

永盛さんはこの定規の創作者・権利者として実用新案登録をされました。商品および「ピンホール原理」の詳しい解説は以下のYouTube動画でご覧になれます ↓

youtu.be

値段もお手頃。小学生などの人気アイテムであることは間違いなさそうです。商品ページはこちら ↓

メガミエ

 

ちなみに製造と販売は、永盛さんの知財権に基づき、サンスター文具(株)が独占的にされています。同社による直販以外にもAmazon、楽天、Loftなどで販売中なので、永盛さんの懐には莫大!?なライセンス料が入っていることでしょう! 羨ましい。

 

②進化するボードゲーム「サイコロン」

このゲームはサイコロと格子模様のカラフルな専用マットから構成されます。遊べるゲーム数は20種以上!さらにプレーヤーがオリジナル・ルールを作って遊ぶこともできるので、アイデアに応じてその数も無限?に膨らむかもという、これまた子供からお年寄りまでに人気を博しそうなゲームです。
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永盛さんはこの商品の購入型クラウドファンディングにも挑戦されており、147人から支援を集めました。また、ゲームショーへの出品やゲームユーザーが集うイベント開催など、このゲームの普及にも力を入れられています。将来「サイコロン」が定番ゲームになっているかも!

 

なお、専用マットはゲーム盤として意匠登録、商品名「サイコロン」は商標登録をされており、商品は以下の専用ページから購入できます。筆者も愛用者の1人。興味がある方はぜひ覗いてみてください ↓

www.saicolon.com

 

 

活動

永盛さんは個人発明家でありながら、同時に他の発明家のサポートにも精力的に取り組まれています。
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内容は商品開発、製造販売、知財保護、ライセンシング、クラウドファンディングでのテストマーケティング、ホームページ作成、SNS・各種メディア媒体での商品宣伝、ファン作りなど、上流から下流まで多岐に渡ります。

 

実は筆者も永盛さんが講師を務められたクラウドファンディングセミナーに小学生の娘と共に参加した事があります。今や個人発明家の登竜門とも言えるクラウドファンディング。永盛さんのセミナーコンテンツは、永盛さんご自身の発明品・開発品での成功体験そのもの。参加者はそのノウハウを学べます。私も実践的で有益な情報を得て、当時挑戦中であったクラウドファンディング・プロジェクトに直ちにそれを取り入れさせてもらいました(体験談)。

 

また、永盛さんは発明系YouTubeチャンネルを運営されたり、今年からは一般社団法人発明学会の職員として街の発明家の支援などもされています。ご自身の個人発明家としての顔の他、他の発明家の総合サポートまで。何か発明ライフで困ったときは、永盛さんに相談してみるのも一手だと思います。

 

 

インタビュー

 Q:ご自身の性格は?

 「行動力のある面倒くさがり屋」です。発明において「面倒くさがる」というのはプラスに働くと思います。

 世の中の製品を見てみてもわかるように、「面倒くさい」から生まれた製品と言うのは多くあります。洗濯機や掃除機のような家事をサポートしてくれる製品もそうですし、私の腕時計(太陽電池+電波)もそうです。

 これらの製品を開発した人が「面倒くさがり」だったかどうかは不明ですが、少なくとも世の中の「面倒くさい」というニーズに応えた製品であると考えられます。なので、私の「面倒くさがり」な性格は、発明にとってはプラスであると考えられます。

 ただ、面倒くさがっているだけでは駄目で、行動力も大事ですね。そうしないと、何も始まらないので。なお、仕事中は「面倒くさがり屋」な部分は封印しております。 

f:id:omoro-invention:20210817132345j:plain※「サイコロン」のCAMPFIRE SHOP@Loftでの店頭販売

 

Q:発明家になるきっかけは? もし差し支えなければ、発明家になる前のご職業なども教えてください。

 小さなころから科学者や発明家にあこがれていました。

 科学者・・・とまではいかないですが、大学院では研究をし、その後も研究開発関係の仕事に就いていました。そして、サラリーマンとして働きながら、副業(趣味)として発明をスタートしました。

 研究開発の場合、様々な専門機器や試薬が必要でお金がかかり、個人でやるのは難しいです。

 しかし、発明の場合、発明の内容にもよりますが、多くの発明は高価な機器を必要とせず、個人でスタートできます。発明学会の会員の方にも、サラリーマン、主婦、定年退職した人、学生等、いわゆる普通の方が多いです。このような方でも、発明家として成功している方はいらっしゃいます。中には大成功して億単位のお金を手に入れた方もおり、発明は非常に夢があります。夢があるといっても、「運」がほとんどを占める宝くじとは違い、自分のアイデアや努力、判断が成功に直結してくるところが面白いと思います。

 

Q:ご自身の発明品の一押しの作品を教えてください。

 代表的な発明品はバーチャルピンホール定規です。サンスター文具株式会社様に採用いただき、「メガミエ」という商品名で販売いただいております。定規に印刷で疑似的な孔を作っており、視力の悪い人が目に当てて使うと、ピンホール効果により、ものがハッキリ見えます。

 このバーチャルピンホール定規ですが、試作の初期段階では黒いボール紙に針で孔をあけて作っていました。しかし、だんだん孔をあけるのが面倒になってきて、「印刷みたいに簡単に孔が作成できればな・・・あれ、透明な定規に印刷すれば、孔をあけているのと同等の効果が発揮できるんじゃない?!」と閃いて生まれました。前述した「面倒くさがり」な性格が、ここでもプラスに働きました。

 後は「サイコロン」というボードゲームを考案しました。これはコンパクトながら、20種類以上のゲームで遊べるボードゲームです。イメージとしてはトランプのようなものでしょうか。こちらは現在、自分で製造販売しています。現在数か所のネットショップやボードゲームカフェで販売中です。

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※意匠登録1617536の図面

 

Q:発明で苦労したことは? 何かエピソードがあれば教えてください。

 バーチャルピンホール定規以前に別の発明で特許取得2件、特許出願1件しています。この3件は特許出願・取得費用で合計100万円以上使いましたが、結局どこも採用してくれず、1円にもなっていません。いくら特許を取得しても、企業が採用してくれなければ1円にもなりません。(もしくは自分でビジネス化して販売していくか)

 「特許取得=凄い=企業が採用してくれる」と考えていると、私のような失敗をします。どんなに凄い発明でも「利益が出ない発明品」は、どこの企業も採用してくれません。

 発明で成功するには「企業の利益になりそうか」といったことや、「需要があるか」といった所まで意識を向けると良いと思います。

f:id:omoro-invention:20210817133845j:plain※永盛さんが企業に提案書を送付して売り込んだ発明の一つの図(熱伝導率調整器具として特許権は取得していた)

 

Q:発明ビジネスについて想う事がありましたら聞かせください。

 いきなり最初の発明で企業に採用されて大金持ちに・・・と言うのは正直難しいと思います。発明は「千三つ」(千に三つのアイデアしか採用されない)と言われるぐらい、企業に採用されるのは難しいのです。

 しかし、発明を続けていくと、どんどん良い案が出るようになってきます。人によってはいくつもの発明が企業に採用されている方もいらっしゃいます。なので、いきなりビジネスとして考えるのではなく、最初は趣味や副業から発明を気軽にスタートするのが良いかと思います。

 また、趣味として楽しむ分には自由にやれば良いと思いますが、ビジネスとして考えると収支をプラスにしなくてはいけません。

 発明をしていくと、自分の発明があまりに凄すぎて(という思い込みで)視野が狭くなってしまうことがあります。そうすると前述した私の例のように、特許取得にお金をかけまくったが1円にもならないといった事態になりかねません。大切な事なので再度申し上げますが、特許取得と採用はイコールではありません。発明では「無駄なお金をかけない」これも大事になってきます。そうでないと、どんなに発明が好きでもお金ばかり出て行って、いつの日か発明が嫌いになってしまいます。

 「無駄なお金をかけない」方法の1つとして、例えば発明学会会員限定のミニコンクールを利用する方法があります。通常ですと特許を出願してから売り込みを行う流れになると思いますが、ミニコンクールを利用した場合、「ミニコンクール応募⇒企業から採用したいと声がかかる⇒特許出願」といったゴールから攻める戦略が可能になり、金銭的リスクがかなり抑えられます。これ以上書くと宣伝っぽくなるので割愛しますが、詳しく知りたい方は発明学会までお問い合わせください。

発明学会  https://www.hatsumei.or.jp/

 

Q:発明学会でのお仕事について

 現在、発明家としての活動を続けながら、一般社団法人発明学会の職員としても働いています。個人発明家をサポートするが仕事です。日常生活の中で「良いアイデアを思いついた!」という方は多くいらっしゃると思います。ただ、ほとんどの方はその後どうしたら良いかわからず、思いついただけで終わってしまっていると思います。発明学会ではそういった方にアドバイスを行う発明相談を行ったり、コンクールを通して発明家と企業の橋渡しをしたりしています。他にもクラウドファンディングのサポート、試作や製品を作れる企業や弁理士さんの紹介、セミナーや書籍を通して出願書類の書き方や企業への売り込み方法を教えたりしています。

 発明に興味がある方や、良いアイデアを思いついたけど、どうしたら良いかわからないという方は、是非発明学会にお問い合わせください。 

 

Q:今後、力をいれたいことや挑戦したいことなどを教えてください。

 発明学会の職員として働きながら、個人の発明家としても活動を継続していく予定です。今後も良いアイデアを思いついたら、特許取得や製品化にチャレンジしていきたいです。

 また、現在発明関係の本を執筆中です。発明業界を盛り上げ、発明家・発明家をサポートする人として有名になるのが当面の野望です。

 

Q:これから発明や発明ビジネスを始める方や現在奮闘中の方などにアドバイスをお願いします。

 発明は楽しいです!あれこれ試行錯誤する発明自体の過程も楽しいです。また自分の発明が企業に採用になり、多くの人に使ってもらう姿を想像してみてください。とてもワクワクしませんか?

 発明には夢があります!是非一緒に楽しく発明していきましょう!!

 

所感・あとがき

今回紹介した「メガミエ」。文具メーカーが販売権を取得してまで売り出した魅力的商品となったことは言うまでもないことです。しかし、この商品が企業の実験室からではなく、個人発明家のアイデアから生まれたとは夢のある話ですね。

 

また、永盛さんはピンホール原理を定規に搭載する際、穴を一つ一つ開けるのではなく、透明定規の表面に模様として穴を印刷することを思い付いたのです。それであれば、製造はデザインの印刷工程がある通常のプラスチック定規と何ら変わりません。これによって定規メーカーによるアイデア採用でも技術的ハードルが一気に下がったと思われます。
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※実登3212792の図面

 

良い発明品とは、単に発明がスゴイことや知財権を取得しているだけではないことを示す良い例だと感じさせられます。つまり、永盛さんの「メガミエ」のように採用する企業側のメリットを備えていることが肝なんですね。これから企業に発明品を売り込もうと考える個人発明家にとっては、今回の永盛さんのインタビュー内容に成功のヒントがあると思いました。ぜひ参考にしてもらいたいです。

 

ところで、私と永盛さんは、小学生の娘と2人で参加したクラウドファンディングセミナーで出会いました。講師だった永盛さんの第一印象は優しくて親切の一言に尽きます。セミナー参加前からDMで私たちのプロジェクトについて親切丁寧にアドバイスを頂きました。セミナー後の懇親会でも、緊張状態の娘に対して沢山の気遣いを頂き、その緊張を解してくれたのがとても印象的でした。個人発明家なので、もっとガツガツと自己主張され、講義も一方通行なのだろうと勝手に想像していたところ、相手想いの姿勢が伝わってきて、いい意味でその予想が覆された格好です。

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そんな永盛さんが今年から発明学会の職員に就きました。会員さんに発明の楽しさを伝えることを本職の一つに選択され、永盛さんのご経験や人柄の良さなどからも正に適材適所と感じさせられます。同会では発明に関することならば副業OKとのこと。それにより永盛さんは個人発明家としての活動を深掘りでき、その体験を会員にフィードバックできる循環が生まれます。会員は身近なところで永盛さんの発明家としての生の声に触れられるのだから環境に恵まれていますね。また、永盛さんは本の執筆やYouTubeにも本腰を入れていくとのこと。永盛さんの情報発信が一般向けにも加速しそうです。今後の更なるご活躍が楽しみ!永盛さん、取材協力ありがとうございました。

 

このコーナーでは、本ブログ管理人が魅力を感じる個人発明家を紹介しています。インタビューを通じ、発明品の紹介のみならず、発明家本人や開発背景、発明ビジネスの秘話なども紹介させて頂きます。紹介する発明家や発明品の魅力が伝わり、発明・発明品の普及につながればと願います。また、発明ビジネスの世界を覗いてみたい方や現在奮闘中の方などにとって参考になれば幸いです。

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次回もお楽しみに。