おもしろ発明ウェブログ

「はつめい」っておもしろい。「はつめい」って人をワクワクさせる。とある弁理士が気の向くままに綴るブログ。

おもしろ発明家名鑑(発明シュフ・こばやしさとこ さん)

発明家を紹介するシリーズ。ここでは思わず「これ便利!」と言いたくなる身近な発明品でビジネスをする発明家を紹介しています。

 

今回3人目としてご紹介させていただくのは、足立区の発明シュフ・パタママこと、こばやしさとこ(以下、パタママ)さんです。

 

目次:

 

発明家・パタママ さん 

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パタママさんの個人発明家としてのキャリアは22年。その間、主婦目線で多くの発明・アイデアを生み出され、これまで30件以上の特許出願をされています。特許庁への手続は全てご自身でされてるとのことですが、その結果、なんと15件もの特許権を取得されています。今回はそんなパタママさんのお話です。

 

主な発明品

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パタママさんはシュフ(主婦)発明家という肩書のもと、主婦ならではの視点で、たくさんの発明をされています。写真はその一部として商品化されたもの。

 

以下、パタママさんの3つの代表作を紹介します。

 

①わんぽろキャッチ

peraichi.com

この発明品はその名のとおり、犬の〇〇のキャッチャーです。「ダイレクトキャッチ→簡単な後始末」を実現するとても便利なアイテムです。商品の完成までには改良を重ね、その分、特許出願も多く行ったとのこと。パタママさん曰く、この商品は発明家としての集大成みたいなものだそうです。

 

②塩ふりスプーン free-sio フリーシオ

store.shopping.yahoo.co.jp

この発明品は、塩を思い通りに手軽に振りかけることができるキッチンアイテム。その名は「フリーシオ」(ふり塩)。実は「フリーシオ」にはプラスチック製以外にも木製タイプが存在しています。木製タイプはパタママさんが一つずつ手作りされており、とても希少性があります。(ちなみに、パタママさんはそうした木材加工のものづくりもお得意。他にも「アントラー」や「パスタスケール」といった木製商品の制作販売をされています。)

 

③クロスホールスポンジ

www.youtube.com

この商品はキッチンスポンジに箸を交差させて差し込む穴を開けたもの。 その穴に箸をズボっと挿せばスポンジと箸が一体化するので、先細のコップなどを洗うのに便利です。とてもシンプルなキッチンアイテムですが、これも発明としてちゃんと特許権が認められています。

 

活動内容

■ 発明創作〜特許出願・権利化

下表はパタママさんの特許出願リストです。

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まず、その数に圧倒されますね。

出願日を見ると、コンスタントに発明をして特許出願されている様子が見て取れます。特許庁への手続は結構面倒なことであり、専門知識も要求されるため、企業などでは代理人弁理士が行うことが通常です。しかし、パタママさんはそれらの手続を自分で対応されています。この他、意匠・商標に関する手続(意匠については国際出願も)までご自身で行っています。個人でそこまで対応できる方は稀の筈でして、明細書の内容は一旦置いておいたとしても、この豊富な特許庁への手続実績は圧巻です。

 

■ 発明コンクール

パタママさんは発明コンクールでも輝かしい受賞歴をお持ちです。中には特許庁長官奨励賞(2年連続受賞)などもあり、その実力が客観的に証明されています。

【婦人発明家協会主催 なるほど展】
・平成14年 特許庁長官奨励賞
  「料理用軽量&ふりかけスプーン」
・平成15年 特許庁長官奨励賞
  「エコちりとり」

【発明学会主催 身近なヒント発明展】
・平成20年 ダイヤコーポレーション社長賞
  「スパゲッティクリップ」
・平成21年 ダイヤコーポレーション社長賞
  「頭部全体冷却カバー」

【東京下町5区 ものづくりTASK大賞 第11回】
・平成28年 奨励賞
  「アントラー」

 

■ テレビ出演

パタママさんは、これまたびっくりするほど多くのテレビ番組に出演されています。それも「レジェンド」と言われるような番組ばかり。その最たるものは平成17年7月〜同19年2月に放送された日本テレビ「伊東家の食卓」のコーナー「おもしろリサイクル」。パタママさんは、そこでも19案ものアイデアが採用されたという快挙を成し遂げています。また、フジテレビ「笑っていいとも!」では、”発明しすぎるアラフォー主婦” として紹介されたことも!

※ご自身がブログで記事にされていますので、そちらもご覧ください ↓

【発明主婦のテレビ出演】意外と出でいた、レジェンド番組(;^ω^) | 特許12件取得の発明シュフ♥お役に立てれば幸いです♥そのアイデア、特許になるかも!?★

 

■ 商品の販売

パタママさんの発明品やオリジナル商品を詳しく知りたい方、ご購入を検討されたい方は以下をご覧ください。

発明★雑貨パタママ式 ホームページ
わんぽろキャッチ ホームページ
Etsy shop Hatsumei Zakka JAPAN

 

インタビュー

Q:どのようにして発明家になったのですか?きっかけとなったエピソードを教えてください。また、発明家の魅力は何ですか?

A:もともと、工作などは好きで、「ないものは自分でつくる」というのは子供のころからあったかも。中学~高校生のころは洋裁が好きで、親は洋服を買うお金はくれませんでしたが布を買うお金はくれました。長男が生まれて(25年前)ハイハイし出したころにゴキブリが出て、殺虫剤をかけたのですが、すぐ死なず、動きまわり、殺虫剤を広範囲にかけたあとの掃除が嫌で。しかも子供はハイハイして寄ってくる。殺虫剤をかけずに捕まえる方法として掃除機で吸って捕獲しようと。その方法を、トイレットペーパーの芯を使い、使い捨てできるアタッチメントを考えつきました。当時、TVで発明将軍ダウンタウンというのをやっていて、「特許」というワードに出会い。発明学会を知ることになり、初めての出願がこの害虫捕獲器です。審査請求もせずに終わりました。当時の発明学会のアドバイスは、特許出願して、7年(だったと記憶しています。審査請求の期限)までに商品化をしてくれるところを探して、見つかったら審査請求をしましょう、という流れでした。

 

 ※パタママさんがはじめて特許出願した発明「使い捨て害虫捕獲器」の図

 

Q:これまでの発明品を教えてください。その中で一押しや思入れのある発明品は何でしょうか?

A:一番の思い入れがあるのは「フリーシオ」という、塩ふりスプーンです。当時、なるほど展で「特許庁長官奨励賞」をいただき、結構テレビでも紹介してもらえたんですけど、商品化ならなかったものです。自分でなんとかならないかと、プラスチック屋さんに見てもらったのですが、当時で300万くらいかかると言われて‥ 断念していました。確か、この出願から6年以内に非課税納税者の免除の制度ができて(審査請求の審査が3年になる前の出願だったと思います)審査請求してみました。そして初めて特許査定されたものです。3年ほど前、シリコンで製造できそうな可能性があって、自分で商品化してみました。(シリコンの性質上、一型で作れるということが判ったので)試作型というので、小ロットで作ることができました。最後にあがいてみようと、10年、11年分まで特許料を払いましたが、昨年から失効しました。しかし、昨年ごろから他メーカーで塩ふりスプーンの商品化が出てきております。15年前から便利だと言い続けていたのに!クロスホールスポンジも、特許の拒絶査定が来て、もう一度拒絶通知が来て、最後の最後に審査官面接して特許がとれました。これは自分で商品化しました。これもいろいろありますね。アントラーも、今までにないカタチなのと、そのころE-HAGUE(意匠の国際出願を行う際の電子出願インターフェース)での出願ができるようになって、出してみようと、チャレンジしてみました。英語はさっぱりだというのに、辞書を引きながらやってみました。いろいろシステムが使いこなせず、これでいいのか?と思いながら出願したのがどうもうまく図面が貼れず、図面不足で米国では拒絶になりました。欧州共同体は登録はされました。

 

 

※発明「料理用計量スプーン」(フリーシオ)の図

 

Q:アイデアを出し続ける秘訣は何でしょうか?発明で苦労したことなども教えてください。

A:普通に、忙しすぎず、暇すぎない生活しているからですかね。自分は子供が3人いて、それぞれいろいろな問題にぶち当たりましたし、家計も裕福ではありませんので、すべてできる範囲でしかやらない、アイデアで克服というか。アントラーも子供が中高の男の子3人が夏休みに毎日家にいて昼ご飯には大量の麺類をゆでる必要があり、それを箸を使うのが大変になって、箸に変わる道具はないか、と考えたのがアントラーでした。そういう家庭環境の変化で必要なものが出てくるので。わんぽろキャッチも犬を飼い始めたことがキッカケです。だからこれから健康とか介護とか、自分が不自由になったときに発明のタネがあるんでしょうね。

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 ※発明「調理用具」(アントラー)の図

 

Q:多数の特許出願や意匠登録出願をされていますが、その理由や背景を聞かせてください。また、どのようにして手続を進められているのでしょうか?

A:最初は商品化してもらいたい!という、そのためには特許がないと、という流れでした。そのうち、「自分の考えたものが国に認定してもらえる」なんて、すごいな!と。あと、発明品として発表すると「それは自分も考えていた」「自分の発明に似ている」と言われたことがあって(特許的には別もの!)、特許として認められているものならだれにも文句言われないな、という気持ちもあります。今は、自分で商品化するための自衛手段でもあります。出願して、特許庁が審査してくれることで、自分が他社への侵害していないかを防ぐこともできると思っています。手続きは自分で出願書類を書いています。出願書類を書くことで、先願も調べて、それによって新しいポイントも見つかったり、改良点を見つけることができます。試作をしたり、使いながら、また気が付いたことを反映させることもでき、自分のペースでブラッシュアップできます。ちなみに、書類を書きあげたあと、相談窓口でチェックしてもらっています。でもそのやり取りの中で、新しい気づきがあったりします。そしてまた修正をしていくという‥

 

Q:ご自身の発明ビジネスにおいて、発明創作~製品開発~営業・販売まで幅広く活動されていますが、パタママさんにとっての得意・不得意はありますか?その中で一番大事だと思う部分はどこですか?

A:何を作っても、「売れない」と意味がありません。お金を稼ぐという点だけでなく、売れないと「せっかくの便利な道具、使ってもらえない」と思っています。わんぽろキャッチは、世界中の糞害をなくしたい!という、壮大な夢があります!?しかし、売るのは難しいですね‥

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※発明「犬の糞処理具」(わんぽろキャッチ)の図
 

Q:これから発明や発明ビジネスを始める方や現在奮闘中の方などにアドバイスをお願いします。

A:出願に関しては、先願調査をしっかりやることがおすすめです。逆に、自分の発明品に対して、ヒントがあるかもしれません。あとは試作品を徹底的に使い倒すことも必要です。どうやって商品化するのか、素材はなにか、どんな作り方をするのまでイメージしながら考えることは必要だなと思います。特許が取れて作られたものが、効果は同じでもっとシンプルだったり安くできたりすることもあります。特許を出願する段階で、気が付くこともあると思うので、とにかく、一度寝かせてみる!?のもオススメかと思います。そして、広ーい感覚で眺めてみるとか‥ しかしながら先願主義なので‥ すべては自己責任でやっています。発明で一攫千金の話はありますが、特許=儲かる、ではないです(笑)。
特許は防具なだけで、結局、それでお金を生むのは「事業」として頑張れるか!だなと思います。実際に、レジェンドと言われている方の多くは、自分で事業化している方が多いですね。そして、商品にかける熱量がハンパないです。どれだけ、製造できるか、売ることができるか?その覚悟があるか?私の課題も、まさしくソコです!

 

所感・あとがき

以上のとおり、パタママさんを紹介させていただきました。パタママさんは、個人発明家としてのアウトプットがとにかくスゴイ!です。ここでいうアウトプットとは、特に「発明を生み出すこと」「その成果を知財制度を駆使して保護すること」の2点です。また、ご自身も仰っておりましたが、発明品を”売る”ことについては、「わんぽろキャッチ」世界進出の野望をお持ちなので、今後が楽しみです。

 

ところで、私がパタママさんを知ったのは昨年でした。それはパタママさんが「わんぽろキャッチ」で購入型クラウドファンディングに挑戦されていた時です。我が家では犬を飼っていませんが、純粋にシンプルで面白い発明品だなぁと思って1個注文したところから私とパタママさんの接点が生まれました。そして、クラウドファンディングのリターン品が届いた際、サプライズがありました ↓

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なんと!「わんぽろキャッチ」の他にも発明品が2つ同封されていたのです。その1つは上述した「クロスホールスポンジ」でした。これには驚かされました(もしかしたらクラウドファンディングのプロジェクトページに説明があったかもですが‥)。原始的な発明品をこよなく愛する私にとって、とても嬉しい出来事だったことを覚えています。

※あとで確認しましたが「クロスホールスポンジ」は”おまけ”として、もう一つの木製「パスタメジャー」はアンケートの礼品として添えてくれたそうです。贅沢過ぎ!!

 

ここ数年、個人発明家によるクラウドファンディングが活況です。しかし、複数の発明品を組み合わせてリターンにするなんて簡単にできる技ではありません。今思えば、それを成し遂げていたのがパタママさん。今回改めてインタビューや実績紹介などをさせていただき、その凄さと理由を再認識した形です。パタママさん、ご協力ありがとうございました。

 

最後に、パタママさんはご自身の活動について、アメブロやNOTEなどで記録化・情報発信されています。個人発明家として挑戦中の方やこれから挑戦される方にとって参考になる情報や物語が満載です。以下にリンクを貼らせていただきます。ぜひご参照ください。

パタママさんのアメブロ
パタママさんのNOTE

 

本コーナーでは、このブログ管理人が一方的に魅力を感じる個人発明家を紹介していきます。インタビューを通じ、発明品の紹介のみならず、ご本人や開発背景、発明ビジネスの秘話なども紹介させて頂きます。それは私自身の学びでもありますが、ご紹介する発明家や発明品の魅力が伝わり、発明・発明品の普及につながればと願います。また、発明ビジネスの世界を覗いてみたい方、現在奮闘中やこれから始めようという方などの参考になれば幸いです。

 

次回もお楽しみに。