おもしろ発明ウェブログ

「はつめい」っておもしろい。「はつめい」って人をワクワクさせる。とある弁理士が気の向くままに綴るブログ。

おもしろ発明家名鑑(未来プロダクツ㈱・田村和浩さん)

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発明家を紹介するシリーズの第2弾。このコーナーでは、思わず「これ便利!」と言いたくなるような身近な発明品でビジネスを展開する発明家を紹介していきます。

 

本日ご紹介させていただく発明家は田村和浩さん。

 

田村さんと私の出会いは、昨年末に発明家が集まったウェブ忘年会。その時にお聞きした話の内容がとても魅力的でしたので、今回改めて取材をさせていただきました。

 

目次:

 

発明家・田村和浩さん

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田村さんは未来プロダクツ㈱の代表取締役。同社は、その名のとおり、未来の新しい商品を扱う会社。新商品開発はもちろんのこと、日本にはまだない新商品を世界から探し出し、輸入販売されています。田村さんは発明家としての活動のみならず、ネットショップや輸入ビジネスにも注力されています。今回のインタビューではそうしたビジネスの魅力についても話を伺うことができました。

 

※未来プロダクツ㈱を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください ↓

未来プロダクツ株式会社

 

主な発明品

【ふたがトングになる保存容器】

この発明は品名のとおり、蓋がトングに早変わりする容器です。とても衛生的でコロナ禍でニーズが高まっている一品です。アイデア創作者は田村さんですが、旭電機化成㈱に実施権を許諾し、同社から商品化されています ↓

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【スライドターンリュック】

このリュックには、その一部が体の側面にスライドする機能があります。この機能により、リュックを背負ったままでも内容物を直ぐに取り出せます。田村さんは、この便利なアイテムで、発明学会主催 第19回「身近なヒント発明展」の発明学会大賞を受賞されています。自分の発明品の中で最も愛着がある一品だそうです ↓

www.youtube.com

 

田村さんは他にもたくさんの発明をされています。「カンガルーリュック」「虫とり博士」「侍スマホケース」など、どれを取ってもとてもユニーク ↓

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 「アイデアのストックはまだまだある!」とのことでしたので、今後の発明品も見逃せません!

 

活動内容

【テレビ出演】

田村さんは発明家として数々のテレビ番組に出演されています。発明家の中では間違いなく有名人と言え、皆さんも一度は見かけているのでは。

また、上述の「ふたがトングになる保存容器」は、BSスカパー!で放送されたビートたけし出演「はじめてのたけし」の企画「はじめての特許」に田村さんが出演し、そこで紹介したアイデアが企業に採用されて商品化を実現されています。

 

【輸入ビジネス】

田村さんは「不思議な魔法の財布(Huntersonマジックウォレット)」の輸入販売をされています。Huntersonはベルギーの財布ブランドです。2019年にドイツ・フランクフルトで開催された世界最大の見本市「アンビエンテ」に田村さんご自身が足を運び、この財布の日本での独占販売権を取得し、代理販売をされています ↓

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インタビュー

Q: 発明を始めたきっかけは? 発明品の第一号は?

A:発明を始めたきっかけは「一獲千金」や「億万長者」といったジャンルの本を手に取ったこと。最初の発明は30年以上前に作ったバイク用のナビゲーション・システムでした。

 

当時はノートパソコンもスマホも無い時代。GPSという言葉もまだ存在しなかった。白黒の液晶画面はあったが、画面に地図を映すというシステムは何千万円もする代物だった。そこで、ロール状の地図を箱に入れ、それをモーターで紙送りさせることで自分の位置を確かめられるようにした。夜にバイク乗りが地図を見るには、いちいちグローブを外して懐中電灯で地図を照らす必要があった。それは不便なので、バックライトを内蔵させ、ボタン操作もできるようにした。

 

その装置は商品化してないが、当時自分がバイクに乗っていたので、自分が欲しかったものを単に自分で作って使っていた。 

※インタビューの途中で当時の写真を見せてくれました ↓

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右下の写真には1987年の日付が入っているのが見て取れます。田村さんも若い!

 

Q:発明家になる前のお仕事は?

A:上記の発明をした後、ずっと仕事が忙しくて発明をしていなかった。その間はコンピューターソフトウェア会社でシステムエンジニアとして働き、プログラミングや制御系システムの設計などをしていた。会社のホームページ作成なども手掛けていた。

 

Q:発明活動を本格的に再開された理由は?

A:転機はリーマン・ショックの時にサラリーマンを希望退職したこと。それまでの20年ぐらいの間は発明をやってなかったが、自分も発明を継続していればヒット商品を生み出せるだろうと思っていた。理由は、自分でも思い付いていたアイデアが世の中でどんどん商品化されていたから。

 

一方で、発明が大変なのも分かっていた。自分だけでなく、他に何十人も同じような考えを持っているだろうから、本当に自分がやれるかどうかは実際にやってみないと分からない。だから、挑戦しないといけないと思った。

 

Q:発明やモノづくりはどのように進めているのですか?

A:「スライドターンリュック」は市販のリュックとシューズケースを用いた。スライド構造部分の板は100円ショップでまな板を購入して切断して材料にした。その他、浴室用のカーテンレールやネジなどの細かい部品をホームセンターで買って使った。どうしても手に入らないパーツは3Dプリンターで製作している。それらを組み合わせて最終的には全て自作している。外注するのは説明が大変だから無理(笑)。試作品を使っている最中に浮かぶアイデアが多いので、自分で作るメリットが大きい。

 

3Dプリンターは、最初目を付けていた頃の値段が20〜30万円ぐらいだった。その後、値段が下がり、積層式タイプが7万円ぐらいになったので購入して使い始めた。「虫取り博士」や「ふたがトングになる保存容器」の部品の一部も3Dプリンターで作った。

 

Q:アイデアを出し続ける秘訣は?

A:常にアイデアストックを持っている。以前は日曜発明学校に通い、アイデアを毎月のように提案していたこともある。現在は年に1個のアイデアを形にすることを目標にしており、年1回開催される発明コンクールにエントリーすることがペースメーカーになっている。

 

発明コンクールでは展示会に参加することがとにかく楽しい。発明家が多く集まるので自分の発明に対する生の声を聞ける。それが面白い。あの祭に参加したくてアイデアを出し続けている。

 

Q:ネットショップや輸入ビジネスを始めた理由や魅力は?

A:ネットショップを始めたのは、発明コンクールで賞をとったとしても企業に商品化してもらうことが難しかったから。企業の商品採用基準が分からず、採用する側の気持ちを知るためにネットショップを始めた。自分でやってみると、その商品がなぜ採用されるのかが分かるようになった。自分が展示会に行き、その商品を仕入れて売る気になれるかが大事。現在は売る側の気持ちを知っている方が、発明にもいい影響が出ると思っている。

 

輸入ビジネスを始めたのは、ネット販売のビジネスセミナーで幾つかのビジネスモデルを学び、様々な商売の中から輸入ビジネスが自分にしっくりくると思ったから。輸入ビジネスは日本にまだない商品や価値を世の中に提供するという点で発明ビジネスと一緒であり、ロマンがある。

 

ネットショップは誰でもできる代わりに、みんな同じ商品を売る訳だから価格競争に巻き込まれる。客は1円でも安い店で買おうとする。店側はギリギリのところで価格設定をしなければならず、それではほとんど利益が出ない。だから独占権を持っていないと価格をコントロールできない。現在ベルギーから輸入販売している「Huntersonマジックウォレット」は日本での独占販売権を持っている。それを見つけにドイツの見本市アンビエンテに足を運んだ。輸入ビジネスは楽しい。

※アンビエンテについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください ↓

ambiente.messefrankfurt.com

 

Q:これから力を入れたいことは?

本当は輸入するアイテムを増やしたい。去年はコロナの影響でそれができなかったが、今後も同じ状況が続くかもしれない。その場合は輸出に力を入れたい。ちょうどAmazonで海外アカウントを取得し、試しにやり始めている。扱う商品は海外でウケそうな日本の商品。例えば、日本では値崩れが激しいが、日本のカルチャー的なものはアメリカなどで高額で売れ続けるものがあったりする。幾つか候補もある。

 

Q:これから同じようなビジネスを始めようとする読者にアドバイスはありますか?

自分も勉強中だし、状況もどんどん変わるのでアドバイスできる立場ではない。強いて言えば時間を大事にすること。旅行で行きたい場所が沢山あるが、もはや全部には行けない。商売をやっていると限りがある時間を常に意識してしまう。やりたいことがあるなら時間を有効に使わなければならない。 

 

所感・あとがき

以上のとおり、発明家・実業家の田村和浩さんを紹介させていただきました。田村さんは、やりたいことを沢山お持ちで、信念をもってそれを実行に移されている方でした。

 

今回の田村さんへのインタビューを通じ、「発明ビジネス」と「輸入ビジネス」には、ロマン溢れる共通項があることに気付かされました。

 

発明ビジネスは、世の中にない商品を発明してその価値を提供しようとするもの。一方の輸入ビジネスは、海外から日本にない商品を仕入れて販売できるので、輸入国・日本では発明ビジネスを展開するのと同じ価値を提供できます。また、海外でユニークな商品を見つけ出し、日本における代理販売の独占権を取得できれば、市場で優位に立ってビジネスを展開できます。それは発明ビジネスで特許権を取得することに近いですね。手段は違いますが、両者の目的やその達成手法は似ていると思います。

 

見本市に足を運び、魅力ある商品の販売権獲得を目指すというスタイルも、普段、個人発明家が逆の立場で受け手になっていることです。これは大企業でなくても参入できるビジネスモデルであり、それを実践されているのが田村さん。発明家ならではの着眼だと感じさせられました。

 

そうした活動は宝探しのような要素もあって楽しそうです。その事に気付かされた瞬間、近い将来、輸入ビジネスをやってみよう!という気持ちになり、私の人生観にもちょっとした変化が起こりました 。田村さん、取材協力ありがとうございました。

 

本コーナーでは、このブログ管理人が一方的に魅力を感じる個人発明家を紹介していきます。インタビューを通じ、発明品の紹介のみならず、ご本人や開発背景、発明ビジネスの秘話なども紹介させて頂きます。それは私自身の学びでもありますが、ご紹介する発明家や発明品の魅力が伝わり、発明・発明品の普及につながればと願います。また、発明ビジネスの世界を覗いてみたい方、現在奮闘中やこれから始めようという方などの参考になれば幸いです。

 

次回もお楽しみに。