おもしろ発明ウェブログ

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知財を活かしたビジネスの魅力

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はじめに

少し前の話ですが、私たち家族が営むオンラインショップで販売する組立式ハンガー・マヒルハンガー(Mahiru Hanger®)が商標登録されました。マヒルハンガーは特許発明品でもありますので、この商品は特許権と商標権で保護された形になります。

 

このハンガーは当時小学3年生であった娘・マヒルが中心となって考案した発明品です(写真は娘が夏休みの自由研究で発表したときの一資料)。私たち家族はそうして生まれた発明を小さなビジネスに結び付けました。今回はこのマヒルハンガーを例にして、発明や商標といった知財をビジネスに取り入れることの意義や魅力をお伝えできればと思います。

 

目次:

 

知財を活かしたビジネスの魅力

以下、マヒルハンガーを題材として、知財をビジネス利用する例を幾つか示すことで、その魅力を伝えたいと思います。

 

①自分の事業における優位性確保

マヒルハンガーは「ばばよし」というオンラインショップの商材です。持ち運び可能な紙製の組立式ハンガーであり、新幹線のどの席に座っても手軽に使用することができるように最適化されています。

 

このハンガーの構造について、私たち家族は特許権を取得しています。ですので、第三者はこの特許権を侵害する形で模倣品・類似品を製造販売したりすることが基本的にできません。このように特許発明品を商材にできれば、他者が真似できない状況を作れ、独占的にその商材を扱うことができます。

 

また、その真似できない部分が技術的に競争優位な特徴(コアバリュー)であれば、特許権者は価値の高い商品を独占販売していることになります。その結果、単に既存商品を仕入れて販売する方式の物販ビジネスとは決定的な違いが生まれます。つまり、他者が真似できない競争力の源泉を手にしていることになります。結果として、商品価格においても価格競争に巻き込まれず、高い自由度をもって設定できます。

 

マヒルハンガーも特許権取得でその状況を確保しました。事実、私たちは「ただ一つのマヒルハンガー取扱店」としてオンラインショップを展開中であり、競合低廉品などに悩まされることなく、純粋に商品価値の提供に向き合うことができています。

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 ②実施許諾・権利譲渡

次に、知財権で保護された物・サービスを自分の事業で取引対象にするのとは異なるビジネス形態もあるので、それを考えます。

 

発明とはアイデアであって無体物です。マヒルハンガーを特許権で保護する際も、ハンガー構造の特徴部分を文章で表現して特許出願し、その表現された技術思想そのものに特許権が付与されています。そして、特許発明を利用した経済活動では、発明品を販売するだけではなく、発明や技術思想そのものを取引対象にすることができます。つまり「物を売る」ではなく、「アイデアを売る」です。

 

実際に特許権者が発明品を製造販売する必要がなかったり、その体力がなかったりすると、第三者にその発明を利用する権利を与えることは良くある話です。また、個人発明家などで最初から企業に自分の発明・アイデアを売り込むパターンも多かったりします。その時の取引対象は、特許権であったりその権利で保護された発明を利用する権利です。

 

このように特許権で保護された発明は自己利用するだけでなく、他者に譲渡したり貸したりすることができるのです。これを権利譲渡、実施許諾といいます。この時、特許権者はライセンス料や権利譲渡に応じた対価を得ます。

 

マヒルハンガーを例にするならば、現在、私たちは紙製の組立式ハンガーを自己実施(自分たちで製作・販売)しています。しかし、金属・木・プラスチックといった他素材で作られたハンガーについて販売権を第三者に譲渡したりできます。また、自己実施する紙製ハンガーに関しても、地域や時期などを定めて他者に実施許諾するということも可能性としてはあるのです。 

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③事業譲渡

ここまでは、①自分で特許発明品を売るパターン、②特許権を取引対象にして実施許諾や権利譲渡により収入を得るパターンを説明しました。最後は3つ目として、事業を育てたあとに事業と知財権をパッケージにして売却するパターンを考えます。

 

将来、①や②の事業が軌道に乗り、世の中で「新幹線用の組立式ハンガー」=「マヒルハンガー」と認知されたとしましょう。その時は、事業を丸ごと誰かに譲渡するという日が来るのかも知れません。譲渡対象となる事業の構成要素は多岐に渡りますが、間違いなく、その中で高い資産として評価されるものの一つがマヒルハンガーの実施権でもある特許権です。また、事業譲渡を受けようとする者が商標権で保護した名称を継続使用したいと考える場合は、商標権も価値の高い取引対象になります。商標権が保護しているのは、蓄積したブランド力や事業上の信用だからです。

 

このように、知財を軸にして事業を育成した後に事業全体を第三者に譲渡する場合、知財を知財権として独占排他権のパッケージとして取引対象にすることも考えられるのです。

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おわりに

今日は簡単にですが、ビジネスの起点として知財を活かすことについて、幾つかの具体的パターンを示す形でその意義に触れました。

 

マヒルハンガーを題材にしたところは妄想も加えましたが、全ては個人でも楽しみながら実現できる話だと思っています。知財活用の可能性の広がりを感じ取っていただければ幸いです。

 

では、この辺で。