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私たち親子の特許出願 ~審査の記録

目次:

 

はじめに

先日、私たち親子の特許出願に特許査定が出たのを機に、発明内容をめでたく公開しています ↓

www.omoro-invention.com

 

今日は、この発明の特許審査において、私たち親子の発明が特許庁の審査官にどのように扱われたかを記事にしたいと思います。また、それに対して取った対応も示します。

 

先ず、特許出願後の時系列は以下です。

 

【出願経過】

2018/10/16 ①特許出願
2018/10/17 ②審査請求・早期審査申請
2019/1/28   ③手続補正指令書の受領
2019/3/2     ④手続補正書の提出
2019/4/25   ⑤拒絶理由通知書の受領
2019/4/27   ⑥手続補正書・意見書の提出
2019/5/15   ⑦審査官からの電話
2019/5/15   ⑧手続補正書の提出
2019/7/31   ⑨特許査定
2019/8/2     ⑩特許料納付

 

このうち、⑤、⑥が発明の実体的な審査に関わる部分なので、その詳細を示します。なお、⑤、⑥以外の全ては既に記事にしています。興味のある方はこちらをご覧ください ↓

https://www.omoro-invention.com/archive/category/私たち親子の特許出願

 

拒絶理由通知書

審査官の審査結果は「拒絶理由通知書」という文書で提示されました。そして、私たちの発明に対する評価は、ズバリ、“発明に進歩性がない” でした ↓ 

 

f:id:omoro-invention:20190810081134p:plain

 

文書が堅苦しいですね。。意訳するならば、「この発明には新しさはあるけれども、誰もが簡単に思い付くようなものだから特許は認めないよ」といった感じでしょう。

拒絶理由通知書は、文字通り、特許庁が特許を認めない(拒絶する)ことの理由を示す文書です。私たちの発明に進歩性がないとする理由については以下のように記載されていました ↓

●理由1(進歩性)について

 

・請求項   1

・引用文献等 1、2

・備考

 

 引用文献1(特に、段落[0018]~[0055]及び図1~13を参照。)には、一枚の板状部材からなるアーム部(ハンガー本体2)と、二つ折り可能な板状の吊り下げ部(フック部3)からなり、前記アーム部に設けられた切欠穴(フック取付部9)に前記吊り下げ部を挿入し、当該吊り下げ部を二つ折りにして前記アーム部を挟んで固定する(図3)ことで、当該アーム部と前記吊り下げ部とが篏合する組立式ハンガーが記載されている

 

 そして、補強するために、紙製のシートを二枚重ねることは、従来周知の技術である(例えば、引用文献2の段落[0012]~[0018]及び図1~3を参照。)から、引用文献1に記載された板状部材からなる一枚の板状部材からなるアーム部を、補強するために、前記従来周知の技術に基いて、二枚重ねて二枚の板状部材とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。

 

 したがって、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された従来周知の技術に基いて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

 

これも一見すると、なんじゃこれ!?っていう文書ですね。赤字で強調した箇所を見れば何となく理解はできると思いますが、要は、引用文献1と2に示される発明を見れば、私たちの発明には容易に想到できる、ということを審査官は指摘されました。

 

ちなみに、引用文献1と2で開示されている発明はこちら ↓

 

・引用文献1

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・引用文献2

f:id:omoro-invention:20190810084643p:plain

 

私としては、ふむふむ、という感じでした。

 

手続補正書・意見書

さて、この拒絶理由を受けて、私が取った対応を示します。

 

先ずは、私たちの発明と引用文献1、2に示される発明を対比しました。私たちの発明はこれです ↓

 

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そして、出願時の特許請求の範囲はこちら ↓

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 二枚の板状部材からなるアーム部と、二つ折り可能な板状の吊り下げ部からなり、前記アーム部に設けられた切欠穴に前記吊り下げ部を挿入し、当該吊り下げ部を二つ折りにして前記アーム部を挟んで固定することで、当該アーム部と前記吊り下げ部とが篏合することを特徴とする組立式ハンガー。
【請求項2】
 二つ折りにした吊り下げ部とアーム部の固定が当該吊り下げ部に設けられた舌片と切り込みの係止によってなされることを特徴とする、請求項1記載の組立式ハンガー。
【請求項3】
 アーム部を前方または後方に折り曲げることにより当該アーム部と衣類との接触面が増大された、請求項1または2記載の組立式ハンガー。

 

まあ、発明ジャンルが「組立式ハンガー」なだけに、容易想到可能だと言われれば確かにその通りなのですが、引用文献と私たちの発明を見比べると、明らかな相違点があることに気付かないでしょうか。

 

それを表現した補正後の特許請求の範囲は以下です ↓

  【書類名】特許請求の範囲
  【請求項1】
 左右別体の第一アーム部材及び第二アーム部材とからなる板状のアーム部と、二つ折り可能な板状の吊り下げ部からなり、前記アーム部に設けられた切欠穴に前記吊り下げ部を挿入し、当該吊り下げ部を二つ折りにして前記アーム部を挟んで固定することで、当該アーム部と前記吊り下げ部とが篏合することを特徴とする組立式ハンガー。

 

つまり、私たちの組立式ハンガーでは、アーム部の板状部材を2枚に分けている点が異なります。そして、これにより組立前の状態をよりコンパクトにでき、持ち運びなどを容易にするという効果を生みだしています。

 

ですので、特許請求の範囲でこの相違点を明示する補正をするために補正書を提出し、併せて、反論を行うための意見書も提出しました ↓ 

【書類名】      意見書

【意見の内容】
 本願は、平成31年4月25日付け発送の拒絶理由通知書により指摘された箇所については、平成31年4月27日に手続補正書の提出を行っており、本拒絶理由は解消されていると思われます。

<1> 補正の内容
 補正の内容は次の通りです。
イ.出願時の請求項1について、アーム部が、左右別体の第一アーム部材及び第二アーム部材とからなる板状のアーム部であることを限定する補正を行いました。これは、出願時の明細書の段落0010~0012、図3、図4、図6の記載に基づくものです。
ロ.出願時の請求項2および3を削除しました。

<2>本願発明について
 上記補正により、本願発明に係るハンガーのアーム部が、左右別体の二つの板状部材からなることを明確化しました。本願発明に係るハンガーは、アーム部が左右別体であることから、組立前の状態では、アーム部を二つに分割でき、ハンガー非使用時のサイズを小さくし、保管や持ち運びを容易にします。
 一方、審査官殿が引用された文献1および文献2に記載されるハンガーは、いずれもアーム部が左右別体のものではなく、分割が不可能なアーム部である点で本願発明とは異なります。
 また、本願発明が解決しようとする課題は、引用文献1や2で開示されるような従来のハンガーが使用できなかった環境においても使用を可能とするものです。つまり、ハンガー非使用時の収納性や携帯性を高め、組み立て前はバッグ等に収納可能であって、持ち運びに便利であり、さらに、飛行機、新幹線、バスなどの座席ポケットでの収納にも適しているという有利な効果を奏します。
 本願発明が解決しようとする課題や発明の有利な効果に関しては、出願時の明細書の段落0004~0007に記載があります。

<3>結論
 以上の通り、本願発明は、今回の補正により拒絶理由を全て解消し得たものと思料致しますので、再度ご審査の上、本願発明について特許すべき旨の査定を賜りたくお願い致します。

 

おわりに

私たち親子の特許出願は、以上の対応を経て「特許査定」に至りました。

 

「拒絶理由通知」を放置すると、「拒絶査定」が確定し、特許は取れなくなります。個人発明家が始めて「拒絶理由通知」を受けた場合、少し仰々しい行政処分だと思われるかも知れませんが、その対応は実はそこまで難しくないと少しは感じ取ってもらえたのではないでしょうか。

 

この記録が今後の皆さんの参考になり、特許出願・権利化の円滑化に役立てば幸いです。ではこの辺で。

 

※「私たち親子の特許出願」これまでの記事はこちら ↓
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