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【発明紹介-027】くつ履き具 兼 杖

目次:

 

はじめに

お恥ずかしい話、先週末に “ギックリ腰もどき” になりました。 ある姿勢をとると腰に激痛が走るので今週の前半などは通勤時の満員電車がヒヤヒヤものでした。ベッドで体を休める事さえ自由にできず結構大変でした。幸い通院せずに回復したのですが「体を自由に使えること」の有り難さを痛感させられた出来事と言えます。

 

そんな一週間を過ごしていた私ですが、前回に続き、今回もカラダにやさしい発明を紹介したいと思います。前回紹介したのは、片手で食器を洗うことができる器具でした。手が不自由な方に向けたとてもヒューマンフレンドリーな発明ですが、この発明をしたのは小室さんという方です。前回の記事はこちら ↓

www.omoro-invention.com

 

そして、今日も小室さんの発明を紹介させて頂きます。

 

発明紹介

発明の名称は「靴履き具兼杖、並びに靴履き具兼杖に用いられる靴べら、石突、突き出し部」です。 特許番号は特許第6481086号で、2019年2月15日に登録されたばかりです。

 

「もの」の発明であり、それは以下の図に示されています ↓

f:id:omoro-invention:20190321114902g:plain

登録された請求項1はこちら ↓

【請求項1】
下端に石突(4)を有する杖(2)と、杖(2)の下端近くに、動かない様に固定された靴べら(1)とを有する靴脱着具兼杖であって、石突(4)の下端外周には、先端に行くほど厚みが薄くなる突き出し部(3)が設けられ、靴の踵の内側に靴べら(1)を挿入し、杖(2)の上部を後方に傾けると、突き出し部(3)の先端が靴底の下に入り込み、杖(2)を持ちあげると、靴を掴み持ち上げて、保持できることを特徴とする靴脱着具兼杖。

 

さらに以下の図を眺めながら請求項1を読むと、発明内容は一目瞭然です ↓

f:id:omoro-invention:20190321125324g:plain

そう、靴べらが付いた杖なんです。さらに、その杖の先端に設けられた突き出し部により、靴を履く際にはテコの原理で靴底を持ち上げる事ができます。そして、靴の中に簡単に足をスコッと入れる事ができるという発明なのです。

 

小室さんは他にも靴べらと杖が結合した器具について特許出願されています。この発明はその改良発明の位置付けとなります。

 

発明が解決しようとする課題は、パーキンソン病患者や高齢者などで十分な筋力を発揮できない方の生活の質を高めようとするもの。非常にシンプル。でも、とても社会貢献性が高いですね。

 

おわりに

ところで、この発明の特許明細書には興味深い記載が沢山ありました。その一部を紹介します ↓

【0017】
この発明は靴べら(1)と杖(2)と突き出し部(3)が一体となって効果を発揮する発明である。物の製作技術が高度に発達した今日において、これらを部分的に製作することは簡単である。それを個々に売って、買った顧客が自分で一体化すれば特許権は及ばない。
そこで特許請求の範囲を各部分にも権利が及ぶ書き方をした。それが人々の生き甲斐である雇用を守り、廃棄物を増やさない安価商品の増加につながらない唯一の方法だと信じるからである。それが特許法の目的でもあると思う。オリンピックエンブレム問題で著作権が注目された。特許権が出願後20年に対し、著作権は死後50年もあるらしい。どの権利にしても内容程度の差があるのは否めないが、何の審査も無しに、強大な権利に成るものが、世にはばかる時代に脅威を感じる。物が売れるにはその良さが顧客に伝わらないと売れない。それには広報、宣伝が必要だが、現実にこれを実行するには莫大エネルなギーと費用がかかる。個人財産をはたいても通用するようなものでは無い。文献1の発明も企業への売り込み、露店販売等、膨大なエネルギーをかけてきた。サラリーマンには分らないだろうが製作に2日かかるものを1日かけて露店販売しても、一本も売れない日が殆どである。露店販売は嫌がらせや、ショバ代等昔からの権利を強要する人との戦いもある。信用が無いので原価以下でないと売れない、店舗を構えてもお客を誘導することは至難の業である。だからこそ露天商から始めた。明日はホームレスかと感じながらも、もう15年もの歳月がアッと言う間に過ぎた。世に浸透するには20年は短い。本来発明など給料の貰えない個人がするものでは無いのかも知れない。しかし福祉の世界で見た、五体満足がどれ程幸せな事かを痛感させてくれた経験が、今を支えている。

 

この文章に触れたとき、なんだか小説でも読んでいる気分になりました。個人発明家である小室さんならではの苦労や悩みが伝わってきます。

 

一方、こうした記載は今回紹介した発明とは関係がないので、特許の審査には影響しない部分だと思います。ただ私にとっては、普段接する特許の明細書(企業・アカデミアから出願される特許明細書)とは異なり、小室さんの生き様のようなものが感じ取れ、大変興味深く拝読させてもらいました。

 

私は特許公報とは「技術書」および「権利書」だと学びました。しかし、今回、特許公報がその域を超えて「発明って素晴らしい‼️」と感じることができる媒体だと改めて気づかされました。

 

最後に、この特許公報には以下の一文がありました。

【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。 

 

これが意味するところは「この発明を利用したい人がいれば相談に応じますよ」というオープンなメッセージが小室さんから送られているのだと思います。既に実用化が進んでいるかも知れませんが、この発明が世の脚光を浴びることを陰ながら願っております。

 

ではこの辺で。